ケアマネ交代の理由~勧誘がしつこかったので~

介護体験談

前回は介護サービスを利用すると、「介護が楽になりますよ」という記事を書きました。しかしサービス利用開始からしばらくして、少し困った問題が起きました。

これからお話しする内容は、本当に稀なケースだと思います。だけど「最初に知っておけばよかったな」と思った事や、後悔もあり、「ちょっと楽になる介護奮闘記」の読者のみなさんには、同じ思いをして欲しくないので、私たちの体験談をお話します。

介護認定後の手続きと知っておいた方がいいこと

介護認定が降りると、介護サービスを始めることになりますが、その前に顔合わせと契約が必要になります。

この顔合わせは利用する人の住まいで行われる事が多いようで、私たちの場合も、ケアマネさんからのリクエストで、自宅で家族のわたしも同席のうえで行いました。

顔合わせで利用者さんとサービス提供者の双方が問題なく合意に至れば、書面契約を行い、サービスの利用がスタートします。

また、訪問診療や訪問介護、デイサービスなど、利用できる福祉サービスはたくさんありますが、何を利用するかはケアマネージャーさん作成の「ケアプラン(介護サービス計画書)」に基づいて進められます。

現行の法律では、ケアマネさんと初回契約した後も、定期訪問(モニタリング)が義務付けられています。この定期訪問で困りごとや、今後のサービスについて双方話し合ったり、見直しや追加依頼を行うことが出来るのです。

この定期訪問の頻度ですが、要介護者の場合、ケアマネジャーが月1回以上訪問することが法律で義務付けられています。一方、要支援者の場合は法律で訪問頻度が義務付けられているわけではなく、ケアプランの内容や利用者の状況に応じて柔軟に決められているそうです。そのため、要支援者の訪問頻度はケアマネさんと相談の上で決定されることが一般的です。

母の場合は要支援ではなく、要介護なので、ケアマネさんが毎月1回以上様子を見てくださらないといけないのですが、私たちがサービスを開始した時は、包括支援センターの方やケアマネジャーさん、看護師さんからも、そのような詳細な説明を受けることはありませんでした。

こういう大事なことは、初回利用時に説明をしてもらわないと、途中で情報をキャッチする機会も少なく、後で「知らなかった」という事にもなります。実際に介護サービスを利用して3年目になりますが、その間に知らない事が多過ぎて、その都度情報収集をするのが大変でした。読者のみなさんにはこの様な経験をして欲しくないと思い、記事にしています。

そして、当時のわたしは、ただ、「母の体調不良があったときに対応してくださる医療従事者の方が毎週訪問してくださることで、安心して仕事に集中できる環境が整ってくれればいいな」ということを考えていました。

働く人が在宅介護で出来るちょっとした工夫

そうはいっても、訪問看護の日はほとんど不在にしますし、日々の母の様子を最も理解しているのはわたしなので、大学ノートを1冊買って来て、母の体調や状況を伝える「連絡ノート」を準備する事にしました。これをケアマネさん、看護師さんの毎回の訪問時に確認いただきたいとお願いをし、許可を得まして、これはケアマネさんを交代した今でも私たちの家での習慣になっています。

さて、話を最初に契約した訪問看護師さんの事に戻しましょう。看護師さんはとても感じの良い方で、わたしが家にいるときには母と世間話をしたり、運動不足で硬くなった筋肉をほぐすストレッチをしてくれるなど、とても熱心に取り組んでくれていました。

母のぼんやりした様子は変わらないままでしたが、それでも介護が少しずつ前進していると感じ、しばらくは母よりも仕事に集中する時間が増えました。

そんな日々を過ごしているうちにケアマネジャーさんから電話があり、「ほんとうは毎月一回お伺いしなければいけないのですが、間が空いてしまってすみません」と、次回訪問時に同席するように依頼されました。

当時のわたしは定期訪問があること自体知らず、母の状況が安定していたこともあり、特に気にしていませんでした。

しかし後になって、ケアマネジャーによる月1回の訪問が法律で義務付けられていることを知る事になります。

また、そのうちに、上手く行っていると思っていた在宅サービスに異変が見られるようになりました。

訪問看護で起きたトラブル~私たちの場合~

私たちの間で交わしていた連絡ノートに看護師さんから「音楽を聞いて治った方がたくさんいらっしゃいます。お母様も良くなるよう、音楽療法をお誘いしています」と、記載されるようになりました。

さらには無添加食品や飲料にも言及されるなど、訪問看護とは直接関係のないコメントが目に入るようになりました。

わたしは仕事で健康食品に携わった事があり、その経験から薬事法に抵触するので、「〇〇で治る」という言葉を安易に使ってはいけない事を知っていました。

そのため医療従事者である看護師さんが、変なことをいうなと違和感を感じましたが、まだその時は母のためを思っての提案だろうと、深く追求はしませんでした。

いよいよおかしいと思ったのは、また連絡帳に「母をコンサートに誘っていて、興味を持っているので、美愛さんも一緒に来てください」という記述と、今度はそのチラシも挟まっていた時でした。

当時の母は、知らない場所に一人で行けるような状況ではありませんでした。また、訪問看護を頼んだのはわたしの介護の負担を減らし、自分の時間を作る事が目的でしたから、よく知らない方が演奏するコンサートに行くほどの気力も時間の余裕も持ち合わせていませんでした。

このお誘いを断ること自体がとても面倒くさく思えましたが、母の看護をして下さっている方なので、無下にも出来ず、連絡ノートに「お気持ちは有難いのですが、時間もありませんので、今後のお誘いはご遠慮ください」と書きました。その後、しばらくの間はお誘いがなかったので、理解してもらえたと信じていました。

後日、家にあったチラシが気になってネットでいろいろと調べていたら、小さな新興宗教団体の情報がちらほらと出てきました。

そして、遂に疑問が確信に変わる日がやって来ました。

その日は私用でお休みを取っていました。用事が予定より早く終わったので帰宅すると、訪問看護はもう終わっている時間のはずなのに、看護師さんはまだ母の部屋にいました。部屋から楽しそうな声だけが聞こえていたので、時間が過ぎても遅くまで熱心に看護してくださっているんだなと思っていると、15分遅れで看護師さんが部屋から出てきました。

彼女は部屋から顔を出し、わたしを見るなりこういってきました。

「いまお母さんと、コンサートに一緒に行く約束をしていたんですよ。わたしはこの近くのご利用者さんをお連れしなければいけないので、美愛さんはお母さんと一緒にいらしてくださいね」

母がそんな約束を簡単にするだろうかと、不思議に思いながら看護師さんをお見送りし、部屋に残されたコンサートのパンフレットを見ると、先日のお誘いと同じ音楽療法のものでした。

母に「これ、行くって約束したの?」と聞くと、最初は無償のお誘いだと思っていたようで、「なんだかわからないけど、まあ、お付き合いで行ってもいいんじゃない?」とのんきにいっていました。

わたしはそのパンフレットを指さしながら、「開催場所が家から電車かバスで40分くらいあるよ?しかも日曜夜の公演で、主催は聞いたこともない団体、金額も1万円ぐらいするんだけど?」というと、「そんなに高いの?それじゃあ、行かないわ」と、即座に不参加を表明しました。

これはひとり暮らしで、自己判断力が鈍っていらっしゃるようなご利用者さんの場合には参加してしまうんだろうなあと思いました。

後になって思い返して見れば、わたしが前に訪問看護の時間に居合わせた時にも、看護師さんは母に向かって次のような話をしていました。

「みなさん介護では悩まれているんですよ。近所のご高齢のご利用者さん、わたしがよくコンサートにお連れするんですが、ご家族と仲が悪くなられてしまって。ご家族は付き添い出来ないっていうので、わたしがその方をいつもコンサートにお連れするんです」

あくまでもわたしの推測ですが、うちの場合は母の思考回路はまだちゃんとしていたので、高額なコンサートには即座に「NO」がいえましたが、その方のご家庭は、コンサートに行きたがるご利用者さんと、ご家族の間で意見の食い違いが生れ、喧嘩にまで発展してしまったのではないでしょうか。

他にも何か勧誘を受けていないか不安になって、母に「看護師さんは、いつも家に来ると何を話しているの?」と聞くと、職業柄、人の相談や重い話を聞く機会が多かった彼女は、話を聞き流すというスキルも持ち合わせていたようで、「何だかよくわからない話をペチャクチャして帰って行くわね」と教えてくれました。

これは母の本来の性格のお陰で難を逃れたケースですが、人を信用しやすい方や断れない性格の方だった場合には、結構大変な事になったのではないかと思いました。

こちらの「ほぼほぼ新興宗教団体が運営しているで間違いないと思われる介護サービス事業者さん」は、元をただせば地域支援包括センターの中田さんからのご紹介でした。私たちが介護サービスを利用することになった際、中田さんが自宅に訪問してくださり、「わたしが担当の中田です」とおっしゃったので、包括センターの職員さんは各家庭毎に担当が決まっているのだとわたしはずっと思い込んでいました。

包括の方からご紹介いただいた事業者さんでしたし、看護師さんの、看護の仕事としての質自体には問題はありませんでした。しかし、勧誘を断ること自体がとてもストレスになり、事業所の変更を決意しました。

ケアマネ変更まで時間がかかった理由

決意したのは良いのですが、最初でつまづいてしまった事と、母を危険な環境に置いてしまった事で申し訳なさを感じ、次のケアマネさん探しには、とても慎重にならざるを得ませんでした。

役所の担当窓口や地域包括支援センターなど、いろいろな所に時間をみつけては電話をかけ、疑問や聞きたい事をすべて話しました。

聞いて行くうちに、介護サービス事業者はいつでも変更可能であること、母の住民票がある自治体の包括支援センター自体は役所から委託を受けた組織であり、また担当制は取っていないという知識が付きました。

では、中田さんが最初の訪問時に「わたしがあなた方の担当です」といったのは、何だったのでしょうか?中田さんもあの団体と関係があったの?誰を信じたらいいの?と不信感でいっぱいになりました。

それでも私たちが頼れる一次窓口は、地域支援包括センターです。それまで、相談事は中田さんを呼び出してお話していたのですが、これからは電話に出てくださった方に話をすれば良い事がわかったので、包括に電話をして「いまの事業所は新しい所が決まり次第、契約終了したいです。契約終了の理由を話したくないのですが、どうしたらいいですか?」と問い合わせると、契約終了に関しては包括の方からお話してくださるとのお申し出がありましたので、お願いする事にしました。

しかし仕事をしながらの新しケアマネさん探しは難航しました。

ある日少し遅めに出勤する日があり、家の外に出ると中田さんと偶然お会いしました。わたしが今の事業所と中田さんに不信感を抱いている事はご本人にもお話してあったので、とても申し訳なさそうに近況をたずねて来られました。

まだ新しい所を決められずにいる事を正直に話すと「もし差し支えなければ、是非わたしに新しい事業者さんを探させてください。」と頭を下げて来られたので、中田さんをもう一度信頼し、次の事業者さん選びも、中田さんにお願いする事にしました。

紆余曲折あってめぐり合えた良いご縁

介護を受ける方が増えているので、良いケアマネさんがいらしたとしても受け持てる人数には限りがあります。その様な心配をわたしも中田さんもしていたのですが、新しい事業所のケアマネさんは比較的早くご紹介いただけました。

お会いする前に事業所名とケアマネさんのお名前、性別を教えて下さるので、前回の後悔も踏まえ、お会いする前にインターネットで軽く事業所さんの事を検索しました。

今度の所は、いくつかの介護施設を運営していらっしゃる法人さんでしたのと、最終的には利用して見ない事には判断が出来ないので、その方にお願いしようと思いました。

利用者はあくまでも母ですので、この段階で「ケアマネさんと訪問看護師さんを変えようと思います。今度はこういった方です。どう思いますか?」とお伺いをたてました。母は任せるわといった風でしたので、中田さんにはご紹介いただいたケアマネさんで進めたいとお返事すると、前の所の契約の終了と新しい所の切り替えを、各事業所のケアマネさんと連携しスムーズに行ってくださいました。

けっきょく、新しい事業所探しに難航したのもあり、その勧誘がしつこかった事業所さんはトータルで1年以上利用してしまいました。

次に訪問看護師さんの切り替えも必要だったのですが、そちらは新しいケアマネさんがご紹介くださいました。その後もケアマネさんは変えてしまいましたが、訪問看護は、今でもお世話になっているエレーヴさんから来ていただいています。

こちらの看護師さんたちには親身になってケアをしていただき、本当に助かっています。

介護サービスの利用をはじめた当初は「知らない」事だらけで、信じられない様な大変な事もありましたが、いまとなってみれば、エレーヴさんとのご縁を繋いでくださった中田さんと、二人目のケアマネさんには感謝しかありません。

介護サービスに関するまとめ

最後に、今回の経験から得た事をまとめて終わりたいと思います。(※要支援については利用経験がないため、簡単に触れています。ご了承ください。)

介護サービス利用開始時に行う事には下記のものがあります。

要介護者の場合

・顔合わせ「サービス担当者との話し合い」
顔合わせの場所は、一般的に利用者の住居で行われる事が多いと思いますが、状況に応じてサービス提供事業所や中立的な場所などで行われることもあるようです。家族の同席が推奨されることが多いようで、母の場合も自宅で、家族のわたしの同席のもと顔合わせを行いました。ご家族のケースによって変わってくる可能性がありますので、詳細は地域包括支援センターやケアマネさんにご確認ください。)

・「ケアプラン」を作成してもらう

ケアプランは、介護保険サービスを受けるために必須の書類(計画書)で、ケアマネさんが作成します。利用するサービスやその種類・回数などが記載されます。

※要支援の場合:ケアプランを作成することが多く、顔合わせについては、ケアマネさんと相談のうえ、進め方が決まるようです。

ケアマネージャーさんの「訪問頻度

ケアマネさんによる月1回以上の訪問が義務付けられています。

※要支援者の場合:ケアプラン(介護予防サービス計画書)に基づいてケアマネージャーさんの訪問頻度が決まります。訪問頻度は法的に厳密な規定がないため、利用者の状態や必要性に応じて柔軟な対応となるようです。

反省とアドバイス

  • 初めて契約するサービス事業者さんの場合、時間に余裕があれば事前にインターネットなどである程度の情報を把握しておくと、「こんなハズじゃなかった」が防げる可能性が増えます。

みなさんも上手に制度を活用して、取り入れられる『ひと工夫』で、介護をちょっと楽にしてくださいね。

当サイト「ちょっと楽になる介護奮闘記」は、実話をもとに書いていますが、登場する人物名や団体名、場所に関してはすべて仮名を使用しています。本記事の内容は、個人の意見や見解に基づいています。特定の信仰や価値観を否定する意図はなく、すべての信仰や考え方を尊重しています。

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