すぐ病院へ行きたがる家族に納得してもらうかかりつけ医選び

介護アイデア

なぜドクターショッピングがよくないのか

意図せずドクターショッピング(はしご受診、重複受診ともよばれています)をしていた母でしたが、ドクターショッピングをすると何が良くないかというと、そのひとつに薬の飲み合わせ問題があります。

個人的な見解ですが、薬は、動植物・鉱物などから抽出した有効成分に化学変化を加えた化学薬品を用いて作られているので、効果がある反面、毒になってしまうこともあるんじゃないかと思っています。

私自身、大人になってから、薬の副作用を受けやすい体質だと気づいたので、できるだけ服薬は少ない方がいいかなと感じているのです。

ところが、ドクターショッピング(はしご受診)をすると、複数の病院で処方された薬を同時に飲んでしまったり、病院へ行った事さえ覚えていないような場合には、結果として自己流の組合せでお薬を飲んでしまうリスクがあり、それが互いに影響し合い、予期しない副作用を引き起こす恐れがあると思うのです。

ほかにも、医師が薬の効果や症状の経過について患者からフィードバックを受けていない可能性も十分にあり、身体の状態が分かりにくく、体調不良が薬の副作用によるものなのか、他に原因があるのかを特定することが難しくなるのではないでしょうか。

頑固になった親に必要なのはお願いよりも納得感

母はもともと、事業経営に家事、子育て、親の介護をひとりでこなすスーパーウーマンでした。

以前と比べると会話の反応が鈍い時もありましたが、自分の人生の舵を取ってきた母からすれば、娘から突然「ドクターショッピング(はしご受診)をやめて」と言われても、すぐに受け入れるのは難しかったと思います。

ドクターショッピング(はしご受診)をやめてもらう場合、どちらの病院をかかりつけ医にするのかという問題もありました。

私たちにとってベストな診療所を考えてみた

長澤医院は実家のいちばん近くにある診療所で、距離は近いのですが、院内の混雑状況は日によってまちまちでした。すぐに診ていただける時もあれば、しばらく待つ時もありました。

ですが、新型コロナウイルスワクチン接種券 (クーポン券)に同封されていた、接種可能な医療機関一覧に記載があって、今後通うには良さそうに思えました。

林医院の方は、先代の先生の時代から我が家がみんなでお世話になっていた診療所です。

美愛(みあ)は生れたばかりの頃は、頻繁に発疹や風邪の症状が出るヨワヨワの病弱だったそうで、子育て一年生の母が困って相談の電話をすると、診察時間が終わっている夜間、土日でも構わずに「いまから赤ちゃんを連れてきなさい」といってくださる、地元ではとても評判の良い先生でした。

いまの林医院は息子さんに代替わりし、コロナ流行前後には予約・診療からお会計まですべてオンラインで済ませられるシステムを導入されていました。

長澤医院の先生も、林医院の若先生も、どちらもとても患者さん思いで、我が家との相性も決して悪くなく、母がはしご受診してしまうのもわかるような気がしました。

頑固な親にメリットを説明してみた

家の中にある書類やお薬の袋から見ても、本人に話を聞いてみても、母は基本的には林医院を中心に通っていて、そちらで治療できないような症状の時には、林先生が総合病院を紹介して下さっていたようでした。

それならこれまでの母の症状をよく理解くださっていて、オンラインで予約からお会計まで済んでしまう林医院の方が、私たちには良いのではないかと思ったので、娘からの『お願いではなかなか聞き入れてくれない母に、林医院をかかりつけ医にするとこんなメリットがあるよというのを、いくつか説明してみました。

・オンライン診療なら診察時間が予約できるので、診療所の待合室で長時間待つ必要がなくなる

・ほかの人たちと一緒にいる時間がないから、コロナやインフルエンザなどの感染のリスクが減らせる

・気分が優れなくて病院まで歩きたくない時でも、家に居ながら診察が受けられる

・受診予約は私がするので、あなたは先生の顔を見て話すだけでいい

・お薬だけ診療所へ自分で取りに行くか、代わりに私が貰いに行ってもいい

・かかりつけ医を決めた方が薬を重複して服用する事もなくなるし、先生もあなたの不調がよくわかるので、お互いの為に良いと思う

というメリットを説明して、なるべく他の診療所へ行かないようにお願いをしました。

その後の母は、林医院の休診日に他の診療所に行ってしまう事こそ何度かありましたが、かかりつけ医を決めた事で、その回数も年に数回と、限りなく減って行き、本人も私も安心して過ごせています。

家族のかかりつけ医を決めるためのアドバイス

家族のかかりつけ医を選ぶ際は、以下の点を参考にしてみてください。

また、紙に書き出して整理したり、シミュレーションすることで、やりたい事がより具体的になり、介護される方や見守られる方にそのメリットの説明をしやすくなります。

1.医師との相性

家族が極度に嫌がっていないか、リラックスして診察を受けているかを確認しましょう。

2.通いやすさ

ご本人や家族が通院しやすい場所にあるかも考慮することが重要です。

3.診察の流れ

予約、診察、お薬の受け取り、お会計の手順などを確認しましょう。
院内処方か院外処方か、オンライン診療の有無やその場合のメリット・デメリットも事前に確認しておくと良いでしょう。

※オンライン診療が可能な場合でも、最低でも数カ月に一度は医師の指示で対面診察が必要となる場合があります。


4.代理での手続き

家族が代理で予約や診察、お会計を行えるか、その手続き方法を確認しておくことをお勧めします。

5.介護される方、見守られる方を中心に

家族が代理で受診できる場合でも、医師が診察するのはあくまでご本人です。
家族の利便性(例えば、家族の職場からの近さ)にとらわれすぎると、ご本人の通院が負担となることがあります。したがって、最終的にはご本人が納得した上で、通院が楽にできる場所を選ぶことが大切です。

次回予告:お薬の「服薬管理について

次回は、美愛(みあ)が実際に行っている「服薬管理」についてお話しします。ずーっと傍にいなくても、ご家族のお薬の飲み忘れを減らすための工夫を紹介します。

~この『ひと工夫』で心も軽くする~ ちょっと楽になる介護奮闘記、次回へ続きます!

当サイト「ちょっと楽になる介護奮闘記」は、実話をもとに書いていますが、登場する人物名や団体名はすべて仮名にしています。

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