母はいつも飲んでいるお薬でさえ飲み忘れが多くなっていたのに、風邪症状などで病院に行き、追加のお薬や抗生物質が処方されると、服薬管理はさらに大変になります。
かかりつけ医と主治医が決まり、安心した私たちでしたが、今度は「服薬管理」という新たな課題が出てきました。
年齢とともに出てくる血圧や肝臓のトラブルに対応するためのお薬、そして抗生物質など、途中で中断せず最後まで飲み切ることが大切な薬が増えていく中、医師の指示通りに服用できないことがとても心配でした。
同居でも別居でも服薬管理は大変
服薬管理は、同居していても別居していても、それぞれに大変な課題があります。
同居で介護する家族が仕事を持っている場合
もし同居している家族が仕事を持っていると、服薬管理にはさまざまな困難がつきまといます。
出勤する場合、起きている間ずっとそばにいて薬を飲むのを見守るわけにはいきません。せめて朝の薬だけでも目の前で飲んでほしいと思っても、寝不足や体調不良の母を無理やり起こして薬を飲んでもらうのは本当に大変です。
無理やり起こしてしまうと、母の機嫌を損ねて大喧嘩になることもしばしば。出勤時間が迫っていると焦りも加わり、気持ちに余裕がなくなります。結局、食事の準備を手伝ったり、「早く薬を飲んで」とせかしてしまい、母も私も嫌な気持ちに…。私はそのまま疲れた心と体で満員電車に乗り込むのです。
さらに、お昼にも服薬指示がある場合、職場のお昼休憩を使って母に電話をし、「お昼は食べた?薬は飲んだ?」と確認することになります。けれど、会議などで予定がずれると、時間の余裕がなくなることもしばしばです。
在宅勤務でも服薬管理できるとは限らない
幸いにも在宅勤務が可能で、一日中家にいる環境であっても、服薬管理は思ったより難しいものです。
そろそろご飯を食べてお薬を飲む時間だなと思っても、仕事のスケジュールや、ちょっとした用事をしている間、たとえばトイレに行ったりコーヒーを淹れたりしているちょっとした隙に、母が薬を飲んでしまうことも。
その場を見ていないと、本当に医師の指示通りに薬を飲んだのか分からず、結局母本人に確認することになります。
母が「飲んだよ」と答えても、薬のシートやごみ箱を上からのぞいて見て「あれ?」と思うことがあります。それでじっくり確認してみると、実は飲み忘れていたり、別の時間帯の薬を飲んでいたりすることが意外と多いのです。
家にいれば服薬管理が楽になる!と考えていましたが、むしろ難しさを痛感する日々でした。
お薬まとめるだけなら一包化という手もあるが
お薬の管理が大変な場合、「一包化(いっぽうか)」という便利なサービスがあります。薬局に相談すると、朝の分、夜の分といった具合に、飲む時間ごとにお薬をまとめてくれるのだそうです。これなら飲み忘れも減り、手間も少なくなりそうです。
ただ、私たちの場合は事情が少し違いました。かかりつけ医の林医院は院内処方ですし、他にも総合病院からお薬をもらっているため、一包化をお願いすべきかどうか悩みました。
また、風邪などで別症状のお薬が追加された場合、そのたびに一包化をお願いしなければいけないかもしれません。これが負担にならないかが気がかりでした。
そして、いちばんの悩みは、薬局に一包化をお願いしに行く時間を、誰が確保するのかという事でした。
母に一包化を説明して、自分で行ってもらう場合、上手く薬局の人とコミュニケーションが取れるでしょうか。それとも私が時間を捻出して依頼をしに行くべきでしょうか。
この作業は月に一回で済むのかしら?
悩みはつきず、私たちは別の方法を選ぶことにしました。
服薬管理で悩んだ末に辿り着いた素晴らしい商品
服薬管理をどうにか楽にする方法はないかと、ネットで情報を探したり、いくつかお店を回ったりしてみました。「一か月分を壁掛けできるお薬カレンダーはどうかな?」「でも、母が使ってくれなかったら無駄になるかも」「それなら安いピルケースを試してみる?」と、頭のなかでシミュレーションを繰り返しました。
その中で、いろいろと検討した結果、カレンダー式ではない、個別のお薬ケースを活用するのが良さそうだと考えました。母の場合、次の条件を満たすケースが必要です。
- 薬の種類が多いうえに、漢方薬の袋もあるため、ある程度の大きさが必要。
- 朝、昼、夜、寝る前と、1日に4回の服薬があるため、4個1セットのケースが必要。
いろいろ探した結果、文具・事務用品メーカーの「リヒトラブ」さんが出しているピルケース(M)4個セットがちょうど良さそうだと思いました。
大きさのある漢方薬の袋を入れても大丈夫だし、ケースの蓋が半透明で中身が見やすいのも、4個1セットなのも私たちにはぴったりでした。
試しに3セット購入してみました。
商品が届いて実際に使ってみると、サイズ感が良く、漢方薬の袋も錠剤も余裕で収まります。さらに便利なのが、この商品には「あさ」「ひる」「よる」「ねる前」というシールが付いていること。
私は、ケースの色を決めてシールを貼ることにしました。たとえば、あさはピンクのケース(太陽のイメージ)、ひるはオレンジ、よるはグリーン、ねる前はブルーといった具合に色を統一。それぞれのケースにシールを貼り、母がひと目で分かるよう工夫しました。
ピルケースを4つ1セット1日分として使ってみた感想
母にリヒトラブのピルケースを渡してみた時、最初の反応は意外なものでした。
「このケースいくらしたの?気持ちは嬉しいけど、ケースがなくてもちゃんと飲めるから、返品してきて」と、あまり乗り気ではなかったのです。長年、自分で服薬管理をしてきた自負や、新しい習慣を取り入れることへの抵抗があったのでしょう。
それでも、「お薬を処方通りに飲まないと、治るものも治らない」と繰り返し伝え、何度かお願いしました。すると少しずつ便利さに気づいてくれたのか、ピルケースを使い始めてくれました。
実際に使ってみて
このピルケースは蓋が半透明で中身が見やすいという特徴があります。ただし、お薬の量が多い場合、錠剤がケースの奥で引っかかり、飲み忘れにつながることがありました。次回のお薬をセットする際、容器を振るとカラカラと音がして、飲み忘れが判明することもありました。
そのため、母には「飲み終わったらケースを逆さまにして振ってみて。中身が残っていたら音がするし、蓋越しに見えるから確認できるよ」と、実演しながら説明しました。
この方法を繰り返すうちに、母も少しずつ自分で確認する習慣がついたようです。最近では、「あれ、お昼の薬飲んだかしら?」とケースを手に取って確認する姿も見られ、服薬管理がスムーズになってきたことを実感しています。
ケースの追加購入と工夫
服薬管理が定着したことで、次は私が1週間分のお薬を正確にセットする必要が出てきました。そこでケースを追加で5つ購入し、合計8つにして、週末にまとめて1週間分をセットすることにしました。
セット時に問題となったのが、お薬の量が多い場合の収納です。錠剤をシートから出すと薬の品質が心配だったため、シートを小さくカットしてケースに収める工夫をしました。この方法で、錠剤を守りながら安全に収納できるようになりました。
最後に
リヒトラブのピルケースは、母の服薬管理を大きくサポートしてくれる欠かせないアイテムになりました。ケースが8日分になったのを見たときも最初は「こんなに買ったらもったいない!返品してきて!!」と私のお財布事情を心配してくれたり、使い始めるまでに時間がかかりました。それでも少しずつ便利さを実感してくれ、今では無くてはならない存在です。
母の姉が泊まりに来た際には、このピルケースを見て「便利そうだから、今日みたいなお出かけ用に私も欲しい」と話してくれたので、ささやかなプレゼントとして贈りました。先日久しぶりにまた家に泊まりに来た時は、そのケースを持参してくれていて、愛用している姿を見ることができ、とても嬉しかったです。
リヒトラブのピルケースは、同じようにたくさんのお薬を服用している方に、ぜひおすすめしたい商品です。このピルケースのおかげで母の服薬管理が大幅に改善されただけでなく、私にとっても週末に服薬セットを用意する作業がルーティン化され、負担が軽減されました。
この商品は、「リヒトラブ 出し入れしやすいおくすりケース Mサイズ HM571」というシリーズで、サイズは幅65mm×奥行15mm×高さ100mmです。しかし残念ながら、現在は販売終了となっており、代替品もないと発表されています。そのため、気になる方は在庫を見つけ次第早めに入手されることをおすすめします。
もし購入できない場合には、無印良品の「ポリプロピレンカードケース・ダブル」が便利そうです。こちらは外寸が幅64mm×奥行100mm×高さ14mm、内寸が幅58mm×奥行94mm×高さ10mmで、リヒトラブのケースとほぼ同サイズです。4つ1セットを1日分として購入してみると良いでしょう。価格は1つ290円(税込み)で、たくさん購入するとちょっとした出費になりますが、まずは1~3日分を購入し、ご利用される方に慣れていただくか、まとめて購入するのであれば私のように8日分ではなく、7日分(28個)もあれば十分でしょう。
ちょっとした出費にはなりますが、ぜひこういったアイテムを活用して、服薬管理をしてみてください。
私も、母の健康を支える大切なツールとして、このピルケースを長く愛用していきたいと思います。